神経因性膀胱①

神経因性膀胱とは?

神経因性膀胱(しんけいいんせいぼうこう)とは、尿を“ためる”働きと“出す”働きをコントロールする神経がうまく働かない状態を指します。

排尿の仕組みは、脳・脊髄・膀胱・尿道が複雑に連携して成り立っていますが、実はまだ完全に解明されていない部分も残っています。
そのため、明らかな原因が見つからない排尿トラブルも、広い意味で神経因性膀胱と表現されることがあります。


どのように診断するのか?

神経因性膀胱と診断するためには、
「なにか別の病気が原因ではないか?」を慎重に確認しながら評価を進めていきます。

・泌尿器科疾患(前立腺肥大症・尿路結石など)
・感染症
・内分泌疾患(糖尿病など)
これらを除外したうえで、排尿にかかわる神経のはたらきに問題があると判断します。


特効薬はあるの?

残念ながら、神経因性膀胱そのものを“完全に治す”特効薬はありません。
しかし、現在の排尿状態を少しでも改善し、腎臓を守ることは十分に可能です。

神経因性膀胱で最も重要なのは、

✔ 上部尿路(腎臓・尿管)の機能を守ること

✔ 尿路感染を防ぐこと

この2つです。


なぜ排尿管理が大切なのか?

適切に尿を出し切れなかったり、逆に膀胱にためられなかったりすると、

  • 残尿による膀胱炎(尿路感染)の増加
  • 膀胱内圧の上昇による腎機能の低下

といった問題につながります。

そのため、
「自分でどのくらい排尿できているか」
「どれくらい残尿があるか」
を管理しながら治療を進めることが不可欠です。


治療方法

神経因性膀胱の治療は、患者さんの症状に応じて組み合わせて行います。

● 内服薬

尿を出しやすくする薬、尿をためやすくする薬などを使用します。

● 間欠的自己導尿(かんけつてきじこどうにょう)

自分で細いカテーテルを使い、定期的に膀胱の尿を出し切る方法です。
残尿を減らすことで、感染予防・腎機能の保護につながります。

● その他の管理

生活習慣の調整や排尿リズムの見直しなども効果的です。


神経因性膀胱は、原因がはっきりしない場合も多いですが、
適切に排尿を管理し、必要に応じて薬や自己導尿を取り入れることで、腎臓を守りながら生活の質を保つことができます。

一人ひとりに合わせて最適な治療法を選択しますので、気になる症状があればいつでもご相談ください。